• 地域活性化政策立案のための音響信号による“賑い度”調査プラットフォームの研究開発

    戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE) 平成27年度~平成29年度 

  • 研究目的

    政策立案には実態把握が欠かせない.本研究ではICT を活用して,安価で効率的に,かつ,従来法より密度の濃い実態把握を実現する.具体的には,時間的,空間的に密度濃く街の賑いを把握できるプラットフォームを研究開発し,必要な時に必要な分解能で街の賑いマップを提供する.これにより,地域活性化の政策立案に寄与する.

    研究開発の概要

    スマートフォンで収録した音響信号から「賑い度」を推定するアルゴリズムを研究開発する.ユーザがスマートフォンを操作中であっても,正確に推定できる点が特徴である.また,不特定多数のスマートフォンから賑い度の収集を可能とするサーバを構築するとともに,ユーザにインセンティブを与えるために,ユーザが賑い度を共有できる仕組みを提供する.

    期待される研究開発成果

    スナップショット的な賑い度調査ではなく,賑い度の時間的変化や,イベントなどの面的な波及効果を把握することが可能となる.施策結果の客観データを長期間に渡って蓄積することで,政策立案の幅と妥当性が向上する.

  • システム概要

    スマートフォンで録音した音響信号から賑い度を推定する.「賑い度」とは,人の混雑度合である.ゲームをしたり,メールを読んだり等,スマートフォンを手に持って操作している最中にマイクロフォンで音響信号を録音し,騒音レベル計算と音声,非音声の識別を行って賑い度を推定する.

     

    賑い度推定機能をスマートフォンアプリとして開発し,不特定多数のユーザにアプリをダウンロードさせ,市民参加型のクラウドソーシングのアプローチで賑い度を収集する.

    をとる.サーバに送るデータは,音響信号から推定した賑い度だけであり,会話等が録音されたとしてもプライバシーを侵害することはない.

     

    参加者のインセンティブとして,参加者への音環境地図フィードバックを提供する.参加者の自宅近辺や日々の移動経路での賑い度を地図上に表示する.他の場所の賑い度と比較することで,自分の住環境のチェックや,一日をどの程度賑いのある場所で過ごしたかを知ることができる.

     

    データ収集側には,参加者の募集方法として,会員型とイベント型を提供する.会員型は長期間にわたりデータを収集するものであり,イベント型は短期的な祭りや展示会などで賑いのスポットや時間帯を計測するものである.

     

    利用方法としては,蓄積型とリアルタイム型を提供する.蓄積型は長期間に渡って不特定多数から収集した賑い度を提供し政策立案のための基本データとして活用する.リアルタイム型は不特定多数から収集したリアルタイムの賑い度を提供しイベントなどの混雑度のモニタリングや人の誘導等に活用する.

  • 環境音収集アプリ

    クラウドソーシングするために,スマートデバイス用のアプリケーションを開発.ユーザが端末を操作中に自動的に環境騒音レベルを収集するモードと,ユーザが意図的に環境音を録音するモードを提供.

     

    「オトログマッパー」という名称で,Google Playに公開.

    https://play.google.com/store/search?q=Sunao%20hara&c=apps&hl=ja

    環境音ヒートマップ表示

    環境音レベルを地図上にヒートマップ表示により可視化.

    赤-橙ー黄ー緑ー青の順に音のレベルが高いことを示す.色が無い部分は,その場所で音の収集が行われていない.

    2時間間隔での平均値を,時々刻々と表示する機能も実装.

    今後は,この表示系で賑い度を可視化する.

  • 参考文献

    ・Sunao Hara, Masanobu Abe, Noboru Sonehara, ``Sound collection and visualization system enabled participatory and opportunistic sensing approaches,'' in Proceedings of 2nd International Workshop on Crowd Assisted Sensing, Pervasive Systems and Communications (CASPer-2015), Workshop of PerCom 2015, pp.390--395, St. Louis, Missoouri, USA, March 2015.

    ・原直,阿部匡伸,曽根原登,``クラウドソーシングによる環境音収集システムを用いた予備収録実験,'' 2015年日本音響学会秋季研究発表会, pp.147--148, 3-Q-3, Sept. 2015.

  • 岡山大学大学院自然科学研究科 ヒューマンセントリック情報処理研究室

    教授:阿部匡伸  助教:原直